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競争馬の予後不良とは?サラブレッドの故障について考える

競争馬の予後不良…あまりテーマにしたくないことではありますが、競馬を続けているとよく耳にする言葉ですし、サラブレッドが経済動物であるということも再認識できるという意味から取り上げてみます。

競争馬の予後不良とは?

予後不良という言葉は、一般的な使い方では病気の後に機能的、あるいは生命的な問題が起こることを指す言葉で、意味の範囲が広いので使い方も難しいんですが、こと競争馬についての意味になると、

予後不良=安楽死

として周知されているのは事実ですし、意味合いとしても大きくは間違っていないと思います。

実際はレースや調教中に故障(怪我)をして、生命を存続させることが難しいレベルと判断されると予後不良と診断され、その診断を持って薬殺処分されることが安楽死ですので、予後不良=安楽死というのは正解ではないのですが、競馬用語としてはこのような使われ方をしています。

なぜ予後不良は安楽死処分になるのか?

サラブレッドは体重が400~600kgあり、その脚部には、静止状態でも1本あたり100kg異常の負荷が掛かると言われています。

1本の脚が故障した場合には、それ以外の脚の負担が増加することになり、故障したのとは別の脚に蹄葉炎などを発症し、自力で立つことが不可能になります。

こういう場合は最終的に死に至りますので、そのような状況を回避できないと判断された場合は安楽死の処分が下されます。

人間が手をかけて治療すればなんとかなるのではないかと考えてしまいますが、今後競争できる見込みのない馬に手間やコストを掛けるのは厳しいことなのだ思います。

競争は出来なくなっても種牡馬として活躍できる馬は治療すれば良いのでは?

競争中に故障を発生して予後不良になる事はあっても、その馬が種牡馬として活躍できる馬であれば経済的にもリスクは少ないのではないか?

競馬の予後不良の話になると議論になることが多い話ですが、結論から言うとこういうケースで成功した例はあまり聞いたことがありません。

日本での有名な例はテンポイントのケースでしょう。

トウショウボーイとのマッチレースとなった有馬記念の勝利するなど、競馬史に残る名馬と呼べるテンポイントですが、活躍したのは1970年代後半で、私もリアルタイムでは見ていません。

テンポイントが我々の世代にも語り継がれてきた理由は、競走成績もさることながら、レース中の骨折から死に至るまでのエピソードが壮絶だったせいかも知れません。

テンポイントは1978年の日経新春杯に、現在では考えられないハンデ66.5kgという斤量で出走、レース中に左後肢を骨折し競走を中止、骨折の度合いは重症でした。

日本中央競馬会の獣医師は安楽死を勧めるほどの怪我でしたが、馬主が了承するのを1日遅らせている間に、日本中央競馬会にはテンポイントの助命を嘆願する電話が、回線がパンクするほど寄せられたそうです。

結果的に即安楽死の処分は取らずに治療(手術)を行いましたが、最終的には蹄葉炎を発症して死に至ることになります。

この事件の詳細は、ウィィペディアなどいろいろなところで目にすることができるので興味がある方は検索してみてください。

テンポイントは治療中、非常に苦しみ続けたそうです…ファンが望んだ延命が果たしてテンポイントにとっては最善の選択だったのかはわかりませんが、サラブレッドの安楽死について考えさせられる、競馬ファンとしては知っておきたい出来事です。

この他にも競争中の重度の骨折から治療を試みた有名な馬にはサクラスターオーやサンエイサンキューがいますが、これらも治療は成功しませんでした。

この2頭は私も競馬を始めていた時代のサラブレッドですから、かなり大きなショックを受けたのを覚えています。

対してレース中に骨折して、延命治療を選択せずに安楽死の処置が取られた名馬もいます。

サイレンススズカやライスシャワーが特に有名ですね。

これらの馬についてもレースはリアルタイムで見ていましたし、事故後の報道なども覚えていますからここで詳細を書き綴る事も可能なんですが、あまり掘り起こしたくない思い出ですので控えたいと思います。

まとめ

競争馬の予後不良は、実際には事故の後に主催者から発表されるので、安楽死を目の当たりにすることはないのですが、競馬を続けていく中ではできるだけ起きてほしくない事象です。

サンライズスズカを含めて、自分が馬券を買っていた馬がレース中に骨折、その後予後不良になった経験は何度かあるんですが、さすがに悲しい気分になります…馬券で負けるなんて小さなことだと思ってしまいます。

レース中の事故については、馬場の硬さが関連していると言われることが多いです。

日本のコースはタイムが出やすいように固くなっているいわれており、これが競争馬の脚部に大きな負担を掛けているというのはよく言われることで、調教師や騎手の方なども、この件に関して改善を求めていることもありました。

一般の競馬ファンよりも、馬主や競馬関係者ほうが切実な問題ではありますし、我々のようなファンからも問題を提起することは難しいのかも知れませんが、知識として競争馬の予後不良について知っておくことは大切でしょう。

ネガティブな話題なのであまり深く考えたくはないですが、我々が競馬を楽しむ上で、サラブレッドは経済動物であるという前提も理解しなくてはいけません。

だからこそ馬券を買いながらサラブレッドを応援できる瞬間を、継続して楽しんでいきたいですね。

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