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ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキー・ダービーってなに?

ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキー・ダービー(JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY)とは、ケンタッキーダービーを主催するチャーチルダウン社が導入した、日本馬に対するケンタッキーダービーへの出走権を与える制度です。

指定されたレースに出走して、4着以内に入ることでポイントを取得することができて、トータルポイント最上位の馬にケンタッキーダービーへの出走権を与えるという制度です。

導入初年度である一昨年、そして昨年ともケンタッキーダービーには日本馬が出走しなかったということで、まだまだ問題点も感じるこの制度ですが、この記事ではジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーについてまとめてみます。

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ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーとは

ケンタッキーダービーってどんなレース?

そもそも、ケンタッキーダービーというのはどういうレースかということですが、アメリカ競馬クラシック3冠レースのうちの一つ(1冠目)で、チャーチルダウンズ競馬場で行われるダート10ハロンのレースです。

アメリカ競馬は日本のJRAとは形態が違って、ダービーと称されるレースは様々な競馬場で行われていますが、このケンタッキーダービーがアメリカのダービーといっても差し支えないでしょう。

ケンタッキーダービーは、2013年よりロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーと称して、トライアルレースとして対象になったレースのポイント制で出走馬を決定していますが、アメリカ以外にもその出走権を与えようということで2016年に創設されたのが「ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」です。

2017年からは欧州馬を対象にした「ヨーロピアン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」も新設されました。

ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーの概要

ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーは先述したとおり、対象のレースで獲得したポイントが最上位の馬にケンタッキーダービーの出走権を与えるものです。

2018-19年度の指定レースと獲得ポイントは以下のようになっています。

対象レース 開催日 開催競馬場 獲得ポイント
1着 2着 3着 4着
カトレア賞 2018年11月24日 東京競馬場 10 4 2 1
全日本2歳優駿 2018年12月19日 川崎競馬場 20 8 4 2
ヒヤシンスステークス 2019年2月17日 東京競馬場 30 12 6 3
伏竜ステークス 2019年3月31日 中山競馬場 40 16 8 4

ポイント最上位の馬が辞退した場合は、ポイント合計上位4位まで順次繰り上がります。

以上がジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーの簡単な概要になりますが、これを踏まえてこのシリーズの問題点を考えてみたいと思います。

ポイント配分は適正か?

まずはポイント配分について考えます。

参考までに昨年度の指定レースと獲得ポイントを見てみます。

・2017-2018年度の指定レースと獲得ポイント

対象レース 開催競馬場 獲得ポイント
1着 2着 3着 4着
カトレア賞 東京競馬場 10 4 2 1
全日本2歳優駿 川崎競馬場 10 4 2 1
ヒヤシンスステークス 東京競馬場 30 12 6 3

2019年度に伏竜ステークスが追加され、獲得ポイントの配分も調整されています。

2018年度は対象レースが3レースで、ポイントもヒヤシンスステークスで1着になった馬がほぼトップを取れる配分でした。

カトレア賞と全日本2歳優駿で勝利して、ヒヤシンスステークス2着でやっと合計32ポイント、この組み合わせ以外はヒヤシンスステークス1着のポイントを上回れないので、実質最後のレースの勝利馬がポイントトップになるバランスでした。

古いコントのクイズネタのようですね。

2019年度は対象レースも4レースになり、ポイント配分も改善された他と思うんですが、結局は後から施行されるレースのポイントのほうが高いというのは変わりません。

本番のケンタッキーダービーに期日が近いほうが価値があるというのは納得できるんですが、アメリカの競馬が左回りということを考えると、ケンタッキーダービーのトライアルとして中山競馬場の1800mのレースに一番高いポイントをつけるというのは個人的に疑問です。

年を追うごとに変更点は出てくるのでしょうが、日本馬がケンタッキーダービーで活躍できるような体制が確立されることを切に願います

シリーズ出走馬にケンタッキーダービー出走の意思はあるのか?

ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーの仕組みは競馬ファンとしては楽しみなんですが、このシリーズに出走させる関係者にとってはどのようなものなのかは未知数な気がします。

そもそもケンタッキーダービー出走を目標として、ポイントトップを狙って出走してくる馬というのは多くないような気がします。

日本調教馬でケンタッキーダービーに出走した馬は1995年のスキーキャプテンが最初で、その後2016年のラニまで出走しませんでした。

ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーが開催される以前は、そもそもトライアルレースに出走すること自体が難しいですからこの結果は仕方ないですが、シリーズが始まって2年で、権利を獲得した馬の出走が無いと言うのは寂しいです。

ちなみにラニがケンタッキーダービーに出走した2016年はジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーはまだありませんでしたが、ドバイのUAEダービーの勝利でポイントを獲得しての出走でした。

この仕組みで該当するのはまだ2年ですが、その2年ともケンタッキーダービー出走馬は無しで、毎年登録する馬自体が少ないことを考えても積極的にケンタッキーダービーを狙っている関係者は少ないのかもしれません。

アメリカ3冠競争の追加登録料は日本円で約2,300万円ですから、予備登録もしていない馬が仮にポイントで権利を獲得しても、おいそれと出走に踏み切れないというのもあるかもしれませんね。

代表馬はアメリカで通用するのか?

そもそもケンタッキーダービーに日本馬が出走して通用するのか?ということですが、過去のアメリカ遠征馬の成績を見ても厳しいというのが現実なのかも知れません。

アメリカはダート競馬が主流ですが、日本調教馬がアメリカのダート重賞を勝ったのは2008年ピーターパンステークス(当時GⅡ)のカジノドライブくらいではないでしょうか。

競走馬のレベルも高い上に、ダービーともなれば超強力なメンバーが揃うだけにただ参加するだけのレースでは意味がありません。

優勝賞金は高額(2019年186万USドル)ですので、勝負になると判断すれば挑戦する魅力は十分にあると思われますが、勝ち目のない勝負はしないという考え方もあるかと思います。

その上、3歳春の時点で無理をして海外に遠征するというのは、サラブレッドの将来的にもリスクがあるのかもしれませんし、そもそも海外遠征なんてまったく興味のない関係者も多いのかも知れません。

個人的には、ケンタッキーダービーを日本馬が勝利する瞬間を見てみたい気持ちもありますが、現実的にはアメリカ競馬の牙城を崩すのは容易ではないと思います。

まとめ

ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキー・ダービーについてまとめてみましたが、要約すると、

  • アメリカの3冠レースの一つであるケンタッキーダービーは、出走馬をトライアルレースのポイント制で決定する「ロード・トゥ・ザ・ケンタッキー・ダービー」という制度を2013年より導入している。
  • 出走馬の門戸を海外に広げ、「ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキー・ダービー」という制度で日本馬にも2017年に出走枠が与えられた。
  • まだまだ始まったばかりの制度なので、いまいち盛り上がらない。

という感じです。

いまいち盛り上がらないというのは個人的な所感ですが、メディアでもケンタッキーダービーの出走権を争うといったような雰囲気は見受けられませんし、制度的な存在意義もいまいち薄いような感じがします。

個人的には、権利を獲得した馬にはどんどん挑戦してもらって、その上で日本の競馬が盛り上がって欲しいと思いますし、日本馬が出走すればJRAが馬券も発売するのではと推測します。

いずれにしろ競馬の興味が馬券にしか向いていないと、日本で馬券の買えない海外のレースなんて興味ないという人もいるかも知れませんが、日本の馬が世界の舞台で活躍することを楽しみしている競馬ファンが大勢いることも事実でしょう。

毎年ケンタッキーダービーに日本馬が出走するとなれば楽しみは大きいですので、この制度が定着して出走するのが当たり前になれば嬉しいんですけどね。

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