良血馬とは、一般的な考え方だと父系、母系共に優秀な血統の馬を掛け合わせて生まれた馬のことを指します。
特にサラブレッドの血統は母系を重視しますので、良血馬とは母系の血統が優秀であることは必須でしょう。
しかしながら、血統が優秀といっても基準や定義がはっきり決められているわけではないですし、どこからどこまでが良血馬という括りもありません。
そういう私も基準が曖昧なまま良血馬という言葉を使うときがありますから、血統が優秀とはどういうことか、良血馬とはどのような血統の馬かということをまとめてみたいと思います。
血統の基礎的なこと
良血の話の前にまずはサラブレッドの血統の基礎的な話で、兄弟姉妹(以後兄弟)について説明します。
人間は父親か母親のどちらかが同じ場合に兄弟となりますが、サラブレッドの場合は母親が同じ場合のみ兄弟となります。
サラブレッドの父親(種牡馬)には年間に200頭以上もの種付けを行う馬もいますが、それを父親が同じでも兄弟とは呼ばないところが人間とは違います。
同じ理由で母親同士が姉妹の場合が従兄弟になり、父が兄弟でもその子供同士は従兄弟ではありません。
母系のみが親戚として繋がってくと考えれば分かりやすいと思います。
ちなみに父親が同じ兄弟を全兄弟、違う場合を半兄弟と呼びます。
一方父系の方は、血統や競争成績が良いサラブレッドが種牡馬として子孫を残せます。
優秀なサラブレッドのみが血統を伝え、そうでない馬たちは淘汰されていくので、結果的には種牡馬は全て優秀な血統であるといっても過言ではないでしょう。
種牡馬の系統はサイアーラインとも呼ばれますが、現存するサラブレッドの父系は、三大始祖と呼ばれる三頭の馬からその血を受け継いでることも覚えておくと良いでしょう。
良血馬の定義はあるのか?
良血馬の定義というのは明確なものは存在しないと思います。
一般的には母系が優秀で、父親もトップサイアーである場合に「良血馬」と呼ばれることが多いです。
母系が優秀というのは、母親の競争成績が良い(重賞勝ち馬など)場合と、一族に活躍馬が多い場合などにそう呼ばれます。
父がトップサイアーというのは曖昧な言い方ですが、その時代のリーディンサイアーランキング上位であればトップサイアーと認識して良いでしょう。
以上を踏まえて良血馬と呼ばれる馬を具体例も含めてピックアップしてみます。
母親が競走成績が優秀な良血馬
母親の競走成績が優秀と言っても、人気薄で重賞を1つ勝ったくらいでは繁殖牝馬としての評価は高くないでしょう。
海外の重賞を複数勝利して、繁殖用として日本に輸入された牝馬、日本馬ならばG1を勝利するか、重賞で何度も連対するくらいの実績があれば、その子供は良血馬と評価されると思います。
最近だとウォッカの産駒、タニノフランケルは良血馬として注目されていますね。父は無敗馬フランケル、ウォッカもダービー含めてG17勝ですから、両親の競走実績が文句無しで良血馬と呼ばれる好例です。
兄弟の競走成績が優秀な良血馬
兄弟が優秀ということは、母馬の子供(産駒と言います)が優秀ということとイコールですので、母の血統が良いと評価されます。
それだけに優秀な馬の兄弟がデビューを迎えると、「良血馬がいよいよデビュー」などと評判になることがあります。
エアダブリン、ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードの兄弟は代表例と言って良いでしょう。
一族(近親関係)の成績が優秀な良血馬
母親が活躍馬ではなくても、近親関係に活躍馬が多い血統の場合は、その子供も良血馬と呼ばれることがあります。
有名なスカーレット一族で例えると、ダイワスカーレットの母であるスカーレットブーケは重賞を4勝した活躍馬でしたが、ヴァーミリアンの母であるスカーレットレディは現役時代は未勝利戦を勝っただけの実績しかありません。
それでもこの一族の子供ということで良血という扱いになりますし、その名に恥じない活躍馬を多く送り出しています。
ちなみに何代にも渡って優秀な繁殖牝馬を輩出する系統を、名牝系と呼ぶこともあります。
取引価格の高い馬
これについては良血だから取引価格が高くなるというのが本当のところですが、セレクトレール等のセリ市で1億円以上の値がついたなどとニュースになれば良血馬として注目されます。
良血でないサラブレッドに高値がつくことはまずありえないので、値段が高い馬イコール良血馬というのは間違いではないでしょう。
ちなみにセレクトレール史上最高落札価格はなんと6億円!
父キングカメハメハ、母トゥザヴィクトリーの牝馬でしたが、未出走のまま引退、血統が良いから走るとは限らないという極端な例となっています。
まとめ
良血馬とはどんなサラブレッドのことを呼ぶのか?ということを簡単にまとめましたが、サラブレッドの血統は奥が深くてこれが正解というのはありません。
母系を中心に説明してますが、やっぱり種牡馬もそれ相応の馬でなけれな良血馬とは言えませんし、世代交代も早いので、血統について理解を深めるには勉強が必用です。
個人的に馬券予想には血統は重視していないんですが、ダート適正など血統が重要な予想ファクターもありますので、全く無視するわけにもいきません。
それでも自分の好きだった馬の子供がデビューして、レースで活躍しておまけに馬券まで的中してしまう事があるので、これも競馬の楽しみの1つですね。